Makers’ Base(目黒区・都立大学駅)で金継ぎ体験 漆の盛り過ぎを反省

重宝していた瀬戸物が割れたとき「金継ぎ」で補修して使い続けることができる。知っていたし、依頼して補修してもらった経験もあるけれど、補修にけっこう時間がかかったりすることもあり、金継ぎから遠ざかっていた。しかし、一念発起して「依頼」するのではなく「自分でやろう」と決意して都立大学駅にある「Makers’ Base」でやっている体験ワークショップに行ってみた

金継ぎ体験は、明るくて広い地下のワークショップスペースで行われる。最初に1階を訪れると、若い女性がなにかアクセサリーのワークショップのために集まっていて、「おじさんには場違いだったか…」と戸惑ったが、金継ぎ体験のワークショップ会場に移動すると、大事にしていた陶器を補修する金継ぎだけに、おじさんでも恥ずかしくない年齢層の人たちが集まっていて、ほっとした。

多くの人は割れた陶器を持ち込んでいたが、自分は「欠けて破片がない陶器」で、少し違うのだけど、問題なく先生が教えてくれた。本来の金継ぎは、漆などを使うのだけど、個人では扱いにくく、乾燥等に時間がかかるので、ワークショップでは工芸用に合成されたものを使った。接着力は、基本的にはしっかりしているそうで、次に割れるときは「金継ぎしてないところが割れるでしょう」と先生。急須やポットから補修した器にお茶などを注ぐのは大丈夫だが、100度の熱湯などを直接かけるのは御法度だそうだ。「ティーバッグに沸き立ての熱湯を注ぐ」のは難しいらしい。

割れた器の人は、接着剤で破片をつなぎ合わせる。欠けている人は、補修用の粘土(短時間で硬くなる)を使う。補修用なので、特に接着剤を使わなくても欠けたところに密着した。10分と経たずに硬くなってきて、そこから紙やすりで表面を削る。どの程度盛るべきか、どの程度削りで調整が効くのかなどは体験して初めて分かってくるのだろう。指導する生がけっこう削って修正してくれた。

そのあと、合成漆で粘土部分を覆う。割れた器の人は、貼り合わせたラインに沿って漆を盛っていく。少しずつ漆を載せて爪楊枝の先で伸ばしていく。きれいに塗装するという感じでは無く、うまく載せていくと、少し粘りがある漆が表面張力でそれらしい形に落ち着いていくのだそうだ。自分は思いっきり盛ったところ、ちょっと盛り過ぎたようで、こちらも先生が少し修正してくれた。合成漆は、漆器の深い赤で、それが乾き始めるころに金属粉を筆でかぶせていく。金属粉は、金ではなく「真鍮」の粉。筆を漆の上を触るか触らないかの距離感で動かすとのこと。漆が完全に乾いていないので筆が漆をこするとよくない。一方でまったく触れないと金属粉がほとんど付かない、難しい。

ワークショップは2時間くらい。終わっても、漆は乾ききっていないので箱などにいれて持ち帰る。箱に入れるとき、緩衝材などが乾いていない漆にあたると漆がこすれたり凹むので、箱などに入れて補修箇所が何にも当たらないように固定して持ち帰る。自分の場合は、やりやすかったけれど、大きく割れている器などは、固定するときも一工夫必要なんだろうな。数日は、この状態で漆の乾燥を待って、そのあと、普通に洗って余分な金粉を落とし、普段使いにする。

先生が修正してくれた漆だが、それでも若干盛り過ぎで、乾燥が進むと、漆の厚みがしぼんで表面に「たるみ」みたいなものが残ってしまった。ここはもう修正できない。そのあたりが「自分でやる」ことの限界だが、気にせず器をまた使おう。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次